No.1:暗がりに揺れる妖しき光は地を結う 「電灯灯々日々②」

グチャ足元から微かに臭う血の臭い。 俺の廻りには頭の吹っ飛んだ死体と、血の海が広がっている。「おぇ・・・」後ろから嘔吐している音がする。 唯一の友人、『澪野 標識』 まあ、特に何もない一般人だ。「だから、着いて来るなと言ったのに・・・」 「でも…

No.1:暗がりに揺れる妖しき光は地を結う 「電灯灯々日々」

ある日、とある廃ビル。日差しが強くガラスのない窓からは直に入り込んでくる。・・・暑い。 とにかく暑くて日陰にいても汗が次々に吹き出てくる。 「・・・朝日奈?」 ボロボロになったフェンスの向こうから同い年ぐらいの青年が顔を出す。 「・・・。」 「…

日常と君と、④

・・・ ・・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・眠れない。どうも目が冴えてしかたがない。 布団に入ってからもう何時間も過ぎたが、 寝相を変えてもなにをしてもどうやっても、 眠れない。しょうがない、なにか飲もう。そう思い布団から出て、ドアノブに手…

Re:初恋

初恋は実らない。そうだとしたら、僕らの恋はどうなのだろう。初恋が実らなかった彼と、実った僕。結果はどう考えても同じだ。結局はどちらの初恋も実った事になる。それは運命が加速しようとも、たとえどこかですれ違っていても、絶対に、確実に、実ってい…

ストリップ・ストリッパー

彼は人を食らう殺人鬼。 私は残酷な悲しき人外。「実に滑稽だな。」目の前に転がっているのは、その殺人鬼。 ゆっくりと近づきしゃがみ込む。「…俺に、何しよってんだ。テメェ、」酷い仏頂面をこちらに向け、不機嫌さが滲み出た態度を取る。 そんな態度を取…

日常と君と、③

まさか、まさかとは思っていたが。 ありえない、こんなこと。 「転校してきた、マキナ・クナギリです。」 もし、この世界に神様がいるのなら、とてつもなく意地悪な神様だろう。「それじゃあ、マキナの席は…エースの隣だ。」それも、とびっきりの。 「なあ、…

日常と君と、②

孤児院から、出て行く日。 最後の日に告白されたんだっけ。 しかも、男に。 「君の事が、好きだ。」 始めは、何かの冗談かと思った。 だから、 「僕、男だけど。」 そうやって、からかってやった。「知ってる。」返ってきた返事に、僕は驚いた。 知っていた…

日常と君と、

「ねえ、マザー。」 「ん?」 「また…会えるよね?」 「 」 ………? 「マザー?」 「 」 「マザー!!」 ピピピピピピピピピ… 「!!」 ピピピピピ… また、あの夢。 「はぁ…」 最近よく見るようになった夢。 孤児院に居たころの僕。 それと、『マザー』 「……」…

一番の苦痛

俺の一番の苦痛。 そんなの決まってるさ。『感情』だよ、 噴怒、慈悲、怠惰、快楽… 全部邪魔になる。…殺す時の話さ。 何でか? 殺す時に情が生まれて、一瞬でも躊躇してみろ。 今度は自分がやられる番だぞ。 だから俺は躊躇しない。 もちろん、容赦もしない…