日常と君と、②

孤児院から、出て行く日。
最後の日に告白されたんだっけ。
しかも、男に。
「君の事が、好きだ。」
始めは、何かの冗談かと思った。
だから、
「僕、男だけど。」
そうやって、からかってやった。

「知ってる。」

返ってきた返事に、僕は驚いた。
知っていた。じゃあ、どうして?
そう質問をしたかったのだが、彼の真剣な表情に思わず途中で言葉を呑みこむ。
「……じゃあさ、1つだけ…条件がある。」
「…?」

「10年後、会えたら付き合う。」



幼い頃の僕は、たぶん混乱していたんだと思う。
だからあんな約束を…
それにしても、
「あ、エース。おはよう。」
…似すぎだろ。
あの時、告白してきた男の子に、あまりにも似すぎている。
ただの思い込みだといいのだが。
「ん、おはよ。」
とりあえずそんな考えを振り払い、あいさつを返す。
この前、家族になったばかりの彼、『マキナ』
僕の義理の母であるエミナさんが、再婚したらしく、その再婚相手の息子が彼で、今こうして一緒に住んでいる訳である。
つまりは、義理の兄弟という訳だ。
「母さん、エースにも朝飯。」
しっかし、慣れるのが早すぎだろ。
数年一緒だった僕でさえも、まだ、母さんなんて呼べず、タメ口も利けず、
「はい、どーぞ。」
「ありがとうございます。エミナさん。」
なんて呼んで、しかも敬語だ。
「そうそう、マキナはエースと同じ学校に行くのよね。」
「ああ、そうだよ。」
「同じクラスになれると、いいわね。」
正直言って、それは無理だろう。
僕の通っている『零式学園』は能力によって、クラスが決まる。
そして僕は最高クラスの『0組』に通っている。
つまりはマキナが僕と同じクラスになる確率は、ほぼない。
まぁ、マキナの実力次第なのだが。
「いってきます。」
食事を終えて、席を立つ。
「エース、もう行くのか!」
「ちょっと、委員会会議でね。」
それじゃ。と言い残して家を飛び出した。


ハッキリ言って委員会会議には、まだ早かった。
けれども、アイツのそばに居ると、あの男の子のことが頭にちらついて落ち着かない。
「最近、疲れてるのかな…」
マザーのことと言い、マキナのことと言い。
…秋だから人恋しくなっているのだろうか、
なんてことも考えてしまう。
「やっぱり僕らしくないな。」
早く学校へ行こう……


「…………ちょ…」

「いい…ちょ…」

「委員長!!」
「うわっ!?」
あー…ヤバイ。
「ごめん…」
「まったく、会議の途中でボォー…とするなんて、委員長らしくないですよ。どうしたんですか?」
まあ、いろいろと…
「あー…うん。で、会議は?」
適当にはぐらかしとこう。うん。
「とっくに終わりました!!チョコボの飼育順、適当に決めちゃいましたからね。」
「えっ、」
何に対して怒っているかは、分からなかったが飼育順を勝手に決められたのは、相当困る。
「ちょっと、ま…」
「んあっ?」
ゴンッ
「痛っ!」
「?エースじゃねぇか、コラ。」
少し大きめの手を差し伸べられ、恐る恐るその手を取る。
「あ、ナイン。」
目の前に立つ体格の大き目の幼馴染の名前を呼ぶ。
『ナイン』は孤児院からの幼馴染の一人だ。
「何かあったのか?」
「んー、いやなんでもない。」
この調子だと、飼育順の件は諦めた方が、良さそうだ。
「ふうん、ま、いいか。それはそうと。」
単純な性格なので、それ以上聞くのはめんどくさいのか、話題を変えた。
「0組に、転校生が来るらしいぜ。」



続く


第3話を乞うご期待!!
エロがぁ((殴