日常と君と、

「ねえ、マザー。」
「ん?」
「また…会えるよね?」
「      」
………?
「マザー?」
「    」
マザー!!」
ピピピピピピピピピ…



「!!」
ピピピピピ…
また、あの夢。
「はぁ…」
最近よく見るようになった夢。
孤児院に居たころの僕。
それと、『マザー』
「……」
元気かなぁ、とか思ったり。
なんか僕らしくないな、こんな夢見るなんて。
自覚はないが、マザコンではない。
……たぶん。
コンッコンッ
「はい。」
「エース、おはよう。」
ノックをして、入ってきたのは(歳のわりに)若く見える女性だった。
「あぁ、エミナさん。」
そう呼ばれた彼女は、少し悲しそうに眉を顰め、
「まだ『母さん』って、呼んでくれないのね。」
僕の母さんはマザーだけだ。とは言えず、
「…すみません。」
と、謝る。
「まあ、いいわ。早く下に来てね。今日は家族が増えるんだから。」
そんな意味深な事と、笑みを残し、部屋を出て行った。
…家族が増える?
「えっ、ちょ、エミナさん!?どういう事ですか?エミナさん!!」
慌てて、着替えて下に降りる。
「ちょっと、エミナ…さ…ん……」
階段を降りきった瞬間、驚いた顔のまま、数秒固まった。
「あぁ、エース。いいところに。この子が今度から家族になる子よ。」
……え?
「初めまして。マキナ・クナギリです。」
嘘……だろ…



続く



すんげー長い小説にしたいなぁ、と思って書いたやつ。
いちおーマキAだったりする。
2話からは、バリバリマキA全開で行きたい。
もちろん、エッチいの全開で((殴
とりま、次回を待て!!

一番の苦痛

俺の一番の苦痛。
そんなの決まってるさ。

『感情』だよ、
噴怒、慈悲、怠惰、快楽…
全部邪魔になる。…殺す時の話さ。
何でか?
殺す時に情が生まれて、一瞬でも躊躇してみろ。
今度は自分がやられる番だぞ。
だから俺は躊躇しない。
もちろん、容赦もしない。

でも、そんな俺にだって例外はある。
その内の一人が、今目の前にいるコイツだ。
コイツに対して俺が抱いてる感情は、そうだな…

『愛しさ』ってやつかな。

一番嫌な感情だよな。
しかし、実際に抱いてしまっているのだから、性がないのだろう。

「……うっ…ぐぅ……」

どうやら目が覚めたらしい。
低い唸り声がして、先程までうつ伏せ状態だった体がこちらに向く。

「よぉ、欠陥製品。やっと起きたのかよ。」

いつもどうりの俺を演じながら、ゆっくりと近ずく。
−大丈夫だ。上手くやれる。

「んん、うーうー!」

拘束されている、手足。
ガムテープで塞がれてる、口。
なんて様なんだろう。普段だったら、誘っているように見えただろう。
だが、今はそんな風に見えなかった,
俺自身が違う目的でやったのだから、当たり前か。

目的。それは邪魔な感情を消すために、


愛しいコイツを殺すこと。


「…悪ぃ、欠陥。」

この俺が殺す前に謝るとは…
やっぱり、感情なんて持ったらいけない。
俺は『零崎一賊』。
躊躇して殺せないなんて、在っちゃいけないんだ。

「……ッ…」

躊躇するな、殺せ。
本能がナイフを構えさせて、一発でやれる急所を探し始める。

殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ…
−殺せ。
「……ぜろ……ざ…きっ……」
「ッ!!」





……
ああ、やっぱり…俺には無理だよ。
お前を、殺せない。


俺は弱虫だ。
別に、それでもいい。
たぶん、現時点でコイツを失ったら、確実に狂って泣き喚くだろう。
それくらい、俺はコイツが好きで好きでたまらないのだ。

ゆっくりと頭を撫でてやる。
すやすやと寝息をたてて眠っているのを見ていると、少しだが、安心する。
−起きたら怒られそうだ。ま、声は出ないので殴られるかもしれないが。
声が出ないと思うのは、昨晩コイツが気絶するまで抱きたおしたから。
あんなに声をあげれば出なくならなくても、枯れるくらいはするだろ。
まぁ、抱かれた本人は覚えていないだろうけど。

「まったく、傑作だな。」



END